今日、会社員での収入だけでは充分満足した生活を送ることが難しくなってきている世の中で、最近特に耳にするのが、「人生100年時代」や「老後2000万問題」とうワード。
これらは日本人の平均寿命が伸びていく中でライフプランの見直しを一度見直しをしていこうというスローガンだったり、会社を定年退職してから死を迎えるまでに必要な生活資金をを表した言葉です。
つまり、定年を迎えた60歳から100歳までの40年間で最低でも2000万円の生活資金が必要だということです。
その中で「NISA」と同様に注目されているのが「iDeCo」です。
今回は老後に備えて重要な資産運用の手段の一つになる「iDeCo」についての説明と特徴を紹介していきます。
「NISA」についても解説している記事がありますので、併せてご覧ください。
そもそもiDeCoって何?
iDeCo(Individual-type Defined Contribution pension plan”)とは「個人型確定拠出年金」を意味しており、簡単に言いますと”個人で年金を形成していくための私的制度(強制で加入する公的制度ではなく個人の意思で加入する制度)で60歳以降に運用したお金を受け取れる年金制度”です。
私たちは日々生活していく中で、「国民年金」を毎月支払わなければなりません。
それに加えて更に会社員や公務員である(第二号保険者)は「厚生年金保険」という年金保険も追加して支払わなければなりません。
また企業によっては「企業年金」だったり、公務員の場合「退職金等年金給付」の制度を活用しているところもあります。
自分のペースで資産形成ができる
iDeCoで公的年金ではなく、自分で拠出(年金や保険の加入者が運営者に月々の掛金を払い込むこと)した掛金を運用していきながら資産を作りあげる制度です。
つまり、毎月の拠出した金額+運用で得た利益を合わせた金額を60歳以降に受け取れます。
月々の掛金は自分で決められる
iDeCoは月々5000円から始めることが可能で、1000円単位で金額を上乗せすることができます。
注意点として、原則60歳までお金を引き出せないので、毎月の収入から無理のない範囲で積立をするようにしましょう。
また、iDeCoは1年に1回だけ掛金の変更を行うことができますので、自分のペースに合った掛金を設定しておくようにしておきましょう。
※毎月の掛金は加入者の区分(第1号被保険者や第2号被保険者など)によって金額の上限が決められていますので、事前に金額の上限を把握しておくことをオススメします。
引用元:iDeCo公式サイト
好きな運用商品を選択できる
毎月の掛金の中から運営管理機関(楽天証券やSBI証券など)が指定する金融商品を自由に組み合わせながら購入することができます。
iDeCoを開始するためにはもちろん最低でも運用商品1つを購入しないことには始められません。
ただし、1つの運用商品だけで運用する場合はその商品の価格変動により、値動きにとても影響されるので利益が大きくでる反面、マイナス時の損失も影響を受けやすくなりますので、「分散投資」を行うことを心掛けましょう。
例)毎月1万円の掛金で商品を3つ購入する場合
- 商品A 4000円(40%)
- 商品B 3500円(35%)
- 商品C 2500円(25%)
仮に商品Aにマイナスの損失が発生しており、商品Bでプラスの利益が出ているとします。
もし、分散投資をせずに商品Aのみを購入した場合と比較すると損失具合は大きく変わりますよね。
特に初心者の方は無難にバランスのとれた配分比率で運用商品を購入していくことをオススメします。
iDeCoの加入条件
第1号被保険者(自営業者、フリーランス)
20歳以上の60歳未満の自営業者やフリーランス、または学生
※「農業者年金の受給者」や「国民年金を納付していない方(全額、半額、一部免除も含む)」は加入できません。
第2号被保険者(会社員や公務員)
60歳未満の厚生年金被保険者(会社員または公務員)
※勤務先の企業で「企業型確定拠出年金」に加入している方は加入することができません。
第3号被保険者(専業主婦(夫))
20歳以上の60歳未満の方
iDeCoのメリット
概要と加入時に必要な条件の次はiDeCoのメリットを紹介します。
iDeCoは、ただ私的に年金用のお金を毎月積み立てるだけの制度ではなく以下のめ
掛金の全額が所得控除の対象になる
iDeCoの最大の特長と言っても過言ではありません。
年間の掛金に対して「全額」所得控除の対象になります。
所得控除の計算方法としまして、「年間の掛金×課税所得金額ごとの税率」で年間の控除金額が算出されます。
例えば毎月の掛金が1万円(年間で12万円)とすると、所得税と住民税が共に10%の税率になりますので、(12万円×所得税10%)+(12万円×住民税10%)=12000円
よって、この12000円が控除されるのです。
この計算式で気づく方もいるかもしれませんが、課税所得の税率は年収が高い人ほど税率が高くなります。
つまり課税所得が多い人(=とは言えないが、収入が多い人ほど)所得控除される金額が多くなります。
運用で得た利益は全額非課税
本来、投資信託で得た利益に対して税金(20.315%)が発生するのですが、iDeCoはNISAと同様に運用で得た利益は全て非課税になります。
この非課税で得をした分、翌年の運用分にそのまま資金を回せるので再投資をする際に、より多くの複利効果を得ることができます。
複利:元金によって生じた利子を翌年の元金に組み込むこと(→利息が利息を生む)
iDeCoのデメリット
メリットもありますが、デメリットも存在しますので両者の特徴を把握してからiDeCoを始めましょう。
預けたお金は原則60歳まで引き出せない
前半部分でも少し触れましたが、iDeCoはNISAなどとは違い、一度積み立てをすると60歳になるまでお金を引き出すことができません。
ですので、自分の収支状況を見直した上で無理のない範囲内でお金を積み立てていくことが大切になります。
ただし、どうしても積み立てが困難になった場合、救済策として「加入者資格喪失届」を提出すると掛金の積み立てを停止させることができます。
元本割れのリスクがある
iDeCoは毎月の掛金を元に投資信託を行うため、運用成績による価格変動によっては受取り時に今まで積み立てた金額より下回ってしまう(元本割れ)リスクも可能性として考えられます。
投資信託とは色んな人から多くの資金を集め、そのお金を元にプロの投資家であるファンドマネージャーによって株式や債権に投資を行っていくので運用で得た利益もでれば逆に損失してしまうこともあります。
ですので、そのリスクが発生することも念頭にいれてiDeCoを活用していきましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
iDeCoはただ老後の年金を蓄えておく以外にも税制の優遇や受け取り時の非課税といった様々なメリットが存在します。
今の生活を充実させるための貯金や節約をすることももちろんとても大切なことです。
ただし、少しずつコツコツと今からiDeCoを実施するのとしないのとでは60歳を過ぎたときに結果が大きく変わっていきます。
今の生活がとても苦しい状況である方は、貯金や節約を最優先してください。
ただ、今の生活に少しでも余裕がある方は是非加入するべきです。
・運用で得たお金は全て非課税
・収入が多い人ほど所得控除の金額が多い
・自分の無理のない範囲でお金を積み立てておくことが大切
皆さんも将来に備えて、今のうちに賢くお金を貯めておきましょう。
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